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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第18章 少女が見たもの




「おい…それはこんなタイミングでする質問か?」

「す、すみません、会議で色々な話を聞いてたら気になってしまって…やっぱりすごく恐ろしいものなんですよね…」


突拍子もない質問に若干顔をしかめてしまったが、さっきの会議で壁外調査の実態を初めて聞いて、純粋に話を聞きたいと思っていたのだろうと、リヴァイは素直に答えてやることにした。


「巨人が怖い…か。
俺にとっちゃあいつらはどうってことねぇ存在だ。まぁ…初めて見た時はあの気持ちのわりぃ面に反吐が出そうになったがな。」

「さすがの人類最強の兵士長でも最初は衝撃だったんですね…」

「それなりにな。今は……一日でも早くこの世界から巨人どもを殲滅させる。死んでいった仲間をこのまま犬死なんかさせない。俺の頭にあるのはそれだけだ。」


リヴァイの言葉はエマの心にずしんと重くのしかかった。

真っ直ぐ前を見据える三白眼は鋭い眼光を放ち、その意志の強さを感じさせる。


この世界では人類の自由を取り戻すために、今まで数多くの人が犠牲になったと聞いた。
その中で今日まで生き残ってきたリヴァイは、死にゆく仲間の姿も幾度となく目の当たりにしているだろう。

そんな数えきれない悲しみを乗り越え巨人に刃を向け続けているリヴァイの気持ちを想像すると心が苦しくなった。


昨日の壁外調査だって損害は少ない方だというが、何人かは巨人との戦いの末犠牲になっている。


……こんな時になんて浅はかな質問してしまったんだ。

それにこんなこと、好奇心混じりに聞くことじゃない。



だが、巨人を見たことが無い自分には、どうしてもただ想像することしかできない。
それではリヴァイや皆の思いに寄り添いきれない気がしてエマは少し歯がゆくもあったのだ。



……巨人をこの目で見たら、何か変わるのかな。

今、ここには捕えられた巨人がいる。もしその姿を見ることができたなら…


ふとそんな考えが浮かび上がる。

それと同時にリヴァイの声が聞こえた。



「巨人を見てみたいとか思ってんのか?」

「え?!」


まるで心を読まれていたかのように放たれたリヴァイの言葉に、エマは動揺して大きな声を出してしまった。


「なんだ、図星か。」


フッと小さく笑って紅茶を啜るリヴァイの感情は読み取れない。




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