第18章 少女が見たもの
唇が離れていくと、今度はそれが首筋を這った。
「あっ…」
吐息に混じって勝手に甘い声が漏れ出してしまう。
リヴァイは舌先で首筋を舐め上げながら器用にシャツのボタンを外し、浮き出た白い鎖骨に口付けを落とした。
「あっ……リヴァイさん…」
仮にも仕事中に、それに執務室でこんなことをしていてはいけないと思っていても、リヴァイの唇と舌の動きに翻弄されつつあるエマは、既に抵抗らしい抵抗ができなくなっていた。
……兵長はこういう時、かなり強引だ。
だけど、全然嫌な気はしないどころか、その強引さに私は身体の奥を疼かせてしまっている。
つまり、好きなんだ。
兵長のこういうところも、大好きで仕方ないんだ…
蕩けそうな頭でエマはぼんやりそんなことを思っていた。
もっと…もっと兵長が欲しい……
エマは知らず知らずのうちに内股を擦り合わせてしまっていた。
しかし首筋をゆるゆると這っていた舌は遠のき、唇に優しくキスをされるとリヴァイは離れていってしまった。
そして発せられた言葉に蕩けかけた頭は現実に引き戻されるのだった。
「もうじき会議が始まる。」
「あ……分かりました。」
「……蕩けた顔しやがって。もう欲しくなったのか?」
「そっ!そんなことありません!」
思いっきり慌ててしまう。
離れた唇が耳に寄せられ、思っていたことをまんまと囁かれたからだ。
リヴァイはフッと笑みを漏らし、エマの頬へ手を添えた。
「仕事が落ち着くまでしばらくは難しいかもしれねぇが、安心しろ。その分次はお前が嫌という程抱いてやる。」
「なっ…!違いますそんなことまでして欲しいなんて思ってないですっ!!」
「嘘をついても無駄だ、顔に出てる。それがお望みなんだろ?」
ド直球すぎる物言いに、頬を紅潮させ益々慌てふためくエマ。
口端をニヤリと上げて言うリヴァイはこの上なく楽しそうに見えた。
どうやらこの人は、強引な上に少々サディスティックでもあるらしい…
でもそんなリヴァイに対して決して悪い気がしなかった自分もまた、彼と似たようなものなのかもしれないと冷静に思うエマなのだった。