第18章 少女が見たもの
「まぁ、少し物思いに耽けりたかっただけの話だ。こいつぐらいの歳なら誰にだってそういうことが一度や二度はあるだろ。」
「そ、そうなの?それでもわざわざシーナまで行くって驚いたけど…本当にそうなの?!エマ!」
ハンジに余計な心配をかけないようと、エマのことを気遣って苦し紛れに説明するリヴァイだったが、こんな説明ではハンジもやはり納得しきっていない様子だ。
「兵長の言うとおりです。すみません、ちょっとどうかしてたみたいで…」
エマはリヴァイの気遣いを有難く思いながら、ハンジとエルヴィンの顔を交互に見る。
ハンジは心配そうにしていたが、少し考えた後でどうやら一応は納得してくれたみたいだった。
対してエルヴィンは黙って優しい目を向けながら話を聞いてくれていた。
あの夜のこともあってエマは何だか少し気まずかった。
「あのっ…本当にごめんなさい。」
いたたまれない気持ちになってもう一度謝罪すると、また物凄い勢いでハンジに抱きつかれた。
「あーもう分かった!分かったから!そんなに暗い顔しない!
ただ、何か悩む事があれば私や周りに頼って。君はこの世界でひとりぼっちじゃないんだからさ。」
「う………ありがとうございます。」
ハンジの言葉が優しく染み渡って、心がじんとする。
ハンジの熱い抱擁はなんとも力強く、華奢なエマの背中が反り返りそうな程力が込められていた。
正直少々苦しかったが、エマはハンジの気持ちを有難く受け取りたい一心でその身を任せていた。のだが。
「おいメガネ。もうその辺にしとけ。エマを絞め殺す気か?」
「えっ?ちょっリヴァイ!」
眉間に皺を寄せて睨むリヴァイに無理矢理体を引き剥がされてしまった。
この空気を壊してしまうのもどうかと思ったが、苦しそうなエマを解放してやりたかったのと、それ以上にエマのことを過剰に抱きしめ続けるハンジのことが何だか気にいらなくて思わず間に入ってしまったのだ。
「絞め殺すなんて物騒な物言いしないでよー!私なりの愛情表現なんだよこれは!」
ハンジは口を尖らせて詰め寄ったが、リヴァイはたじろぐこともせずそのの顔を鬱陶しそうに見上げている。