第18章 少女が見たもの
「ねぇ……まさかとは思うけど、エマ、帰っちゃったりしてないよね…?」
「…分からない。だがリヴァイなら、きっとエマを連れ帰ってくる。」
「そうだよね…私たちに何も言わずに帰るなんて、エマなら絶対そんなことしないはずだし…」
もう頼みの綱はリヴァイだけだ。
ハンジもエルヴィンも、リヴァイがエマを連れて帰ってくることだけを信じて待とうと思った、その時一
「エルヴィン、留守にしてすまなかった。」
ノックもなく開かれたドアの先には、いつもの愛想のない三白眼がこちらを見ていた。
「リヴァイ!!エマはどこ?!無事なの?!!」
思いがけないタイミングでリヴァイの登場に、息を荒らげながら詰め寄るハンジ。エルヴィンもリヴァイへ体を向けて話し出すのを待っている。
リヴァイは“あぁ”と一言発すると、廊下の方へ視線を向けてこちらへ目配せしている。
するとリヴァイの後ろから、肩を丸めたエマがおずおずと団長室へと入ってきた。
「エマ!!」
その瞬間ハンジがエマに抱きつき、彼女はその勢いで少し後ろへよろけてしまった。
「無事でよかったよぉ!私たちのいない間に行方知らずになったって聞いて気が気じゃなかったんだから!」
「ハンジさん……」
「エマがお前らにどうしても謝りたいそうだ。」
後から入室したリヴァイがハンジを引き剥がしながらそう言うと、エマは申し訳なさそうに噤んでいた口を開いた。
「エルヴィン団長、ハンジさん……こんな時に余計なご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。」
はっきりとした口調で言い終わると、深々と頭を下げた。
「そっ、そんなかしこまらなくてもいいよ…!ほら、無事に戻ってきたんだし、私たちはそれで十分なんだから!ねぇ?エルヴィン!」
「あぁもちろん。こうして君にまた会えたことが何よりだ。細かいことは気にしなくていい。」
「ハンジさん…団長……」
二人の優しい言葉に、自分はなんて愚かなことをしたんだと猛省するエマ。