第3章 いきなりピンチ
「それとエマ、リヴァイの秘書になったんだって?」
「もう団長もご存知でしたか。」
「あいつも面白いことを思いつくもんだな。」
「はい。でももう少し慣れたら、実際に仕事をしてもらうと言われました。」
そこまで言うと、エルヴィンは目を丸くしたあと少し笑ってそうかと呟いた。
「今はあいつも忙しい身だからな。君の手が必要だと思ったんだろう。」
「こんな私でも頼りにしてもらえて光栄です!だからしっかり勉強して、リヴァイ兵長や皆さんのお役に立てられるよう頑張りますね!」
「あぁ、ありがとう。」
やる気に満ちたエマを見て、エルヴィンは目を細めて優しく微笑んだ。
エルヴィン団長…
肩書きもあって最初はすごく緊張したけど、どうやら想像してたような気難しい人ではなさそう。
それに、兵団をまとめるだけでも大変なはずなのに、私にまで細かい気配りをしてくれて、やっぱりすごくできる人なんだろうな。
それに、今も早朝から仕事してるし、ちゃんと休んでるのかな…
「エマ、もしかして私の心配をしてくれているのかな?大丈夫、ちゃんと休息は取っているよ。」
「!!
あの…エルヴィン団長はエスパーなのですか?」
エマは自分の考えていることをピタリと当てられたことに驚き、目を丸くしたまま問う。
「ハハハ!面白いことを言うんだな。だが顔にはっきりと書いてあるぞ。」
「そんなに分かりやすいですか…。」
「少なくとも私にはよく分かる。」
「なんか、ちょっと悔しいです。」
エマは少し口を尖らせてみると、エルヴィンは優しい眼差しのままその頭を撫でた。
「あの、団長…」
「ん?」
「もしかして…子供扱いしてますか?」
少し不満そうに呟くと、エルヴィンは声を上げて笑った。
「そんなことはない。でも朝から良い気分にさせてもらった。礼を言うよ。」
「そんな、こちらこそ色々とお気遣いありがとうございます。」
「どういたしまして。
もう少し話をしていたいところだが、もうすぐ皆が朝食を取りに来る時間だ。今ならまだ空いているから、今のうちに食べに行きなさい。」
「はい、そうさせていただきます!」
エマはエルヴィンに笑顔を向けると、エルヴィンも微笑んで朝食へ送り出した。