第17章 心を通わせた先 ※
……こいつは。
きっと何も考えず思ったままのことを口にしたのだろう。
愛らしい笑顔でそんなことを言われれば、次は本当に歯止めが効かなくなりそうだ…
リヴァイは口角を怪しげに上げながら漆黒の瞳を捉えた。
「あぁ、分かった。次はお前の望み通り容赦はしないから覚悟しておけ。」
「え?!私、そんなこと一言も言ってないです!」
「うるせぇな。分かったら今日はもう寝支度をするぞ。」
慌てて否定しにかかるエマを制しベッドから降りると、リヴァイは洗面所の方へ消えていった。
「先にシャワーを浴びてこい。」
「あ、はいっ。」
バスタオルを手に戻ってきたリヴァイは、ベッド上で座り込むエマへ渡す。
エマはパタパタと準備してシャワー室へと入っていった。
リヴァイはその姿を見届けてから、気だるい身体をベッドへ沈めた。
目を閉じてぼーっとしていると、シャワー室から水の流れる音が聞こえてくる。
エマと結ばれることができた。
想像以上に舞い上がっている自分には正直びっくりだ。
それはもう笑ってしまいそうなほどに。
想いが通い合うだけでこんなにも見える世界が変わってしまうとは。
自分の傍に愛しい人の笑顔があるということが、こんなにも幸せなことだったとは。
愛する人とと身体を重ねることで、こんなにも心が満たされるとは。
リヴァイにとってはどれも“初めて”の感覚で、世界が一瞬にして彩られたような心の移り変わりように、とても驚いていた。
いい大人がこんなことを今初めて知るなんて我ながら滑稽だなと思いつつ、この胸いっぱいに広がるあたたかな気持ちは心地良く、悪くないと思えるのであった。
「…あいつ、落としたままじゃねぇか。」
ふとドアの方へ目を向ければ、リヴァイにベッドへ引っ張られた時に落としたエマの紙袋が床に転がったままであった。
部屋に入った時のガチガチに固まっていたエマの姿を思い出してつい頬が緩んでしまう。
リヴァイはベッドから降りてそれを拾おうと近づいた。落ちた反動で紙袋から中身が少し飛び出ている。
中身を拾って中へ戻そうとしたその時一
「……!!」
目にした光景に驚き、掴みかけたそれを咄嗟に手から離してしまった。