第17章 心を通わせた先 ※
「どうかしたか?」
「いえ…すごい筋肉だなって。」
さっきはいっぱいいっぱいで全然気がつかなかったが、改めて見るリヴァイの体つきは凄まじく逞しかった。
色白で小柄なせいもあってか、服を着ている姿からは想像出来ないほどである。
人の裸体を、こんなにも美しいと思ったのは初めてだ…
鍛え上げられた胸筋は分厚く腹筋は綺麗に6つに割れていて、肉体美溢れるその身体にエマはつい見とれてしまっていた。
「兵士はみんなこんなもんだろ。」
「そうなんですか…それでも兵長の体はなんか…とんでもなく綺麗です。」
「お前は相変わらず感動するところがよく分からねぇな。まぁだが…」
リヴァイはそう言いながらエマへ近づき、顎を持ち上げる。
「この身体はもうお前のものだ。だから好きにして構わねぇ。」
「へっ?!」
「もちろん、逆もまた然りだがな。」
「……っ!!」
わざとらしく掠れた声で囁けば、エマはたちまち頬を紅潮させてしまう。
不意打ちの言葉に、頭から湯気が出そうなほど彼女の顔は赤く上気していた。
リヴァイは真っ赤になったエマの耳輪を唇で挟んで弄びだした。
「ひゃっ!……だめです…」
「………またその気になっちまうか?」
「なっ……!」
身体をピクリとさせて眉をひそめるエマに意地悪げに問いかければ、彼女は慌てたふためいた。
「安心しろ、何もしねぇよ。そんな顔してると益々苛めてやりたくなるが、生憎俺も今日はそこまでの体力が残ってねぇ。」
リヴァイは心底残念そうだ。
確かに今日は朝から壁外に出ていて、帰ってきてまたすぐに馬を全速力で走らせてここまで来て、さらに先程の情事もあり中々にハードな1日であった。
加えて壁外調査の後処理も放り出してここへ来てしまったため、明日は早朝にここを出て一刻も早く本部へ戻らなければならない。
リヴァイはやるせない気持ちを紛らわすかのように、エマの頭をクシャクシャと撫でた。
「……今日はもう十分過ぎるほどリヴァイさんから色々と受け取りましたから…また、次回のお楽しみにとっておきますね。」
「…………」
エマはリヴァイに向かってニコリと微笑んだが、リヴァイはその言葉に思わず目を見開いてしまうのであった。