第17章 心を通わせた先 ※
兵長と恋人になれてすごく嬉しい。
それはもうすごくすごく嬉しい………
確かにリヴァイの言う通りこのまま別の部屋で寝ることになっていたら、せっかく一緒になれたのに…と寂しい気持ちになっていただろう。
だからエマにとっても今のこの状況は、本当は心臓が飛び跳ねそうなくらい喜ばしいことなのだ。
だけど、ただひとつ。
ただひとつだけ、彼女が初心で純粋すぎるがゆえに、リヴァイのようにさらりとこの状況に適応出来ないだけなのである。
恋人が同じ部屋で夜を明かすということがどういうことなのかは、純朴なエマでも分かり切ったことだ。
そう……さっき教会の屋根の上で抱き合った時はすごく感情が昂っていて、そのせいであんな大胆なことが出来ただけであって。
こうして改めて二人きりになると、今夜ここで起こるかもしれないことを勝手に想像してしまい、途端にどうしようもない緊張と羞恥心が押し寄せていたのだ。
頬に手を当てて俯きながら小さな声で唸っていると、彼女の手に大きな骨ばった手が重なった。
そしてその手にゆっくりと顔を上げさせられると、熱っぽい瞳がエマの目に映り込んだ。
「なら、ずっと舞い上がったままでいればいいだろ。」
「えっ?!んんっ!」
リヴァイは僅かに口端を上げてそう言うと、エマの顔を引き寄せて唇を奪った。
何度か角度を変えながら啄むようなキスを落としてから、舌でエマの唇を割り、熱を持った口内を貪っていく。
突然の強引なキスにエマの心臓は爆発しそうなほど鼓動を早め、唇を塞がれたまま心拍数の上がったエマは早くも呼吸が苦しくなってくる。
「…んっ……はぁ………」
「こないだより上手く息吸えてるじゃねぇか…」
キスの合間に囁くリヴァイの声が、いつもよりやたらと甘く鼓膜を刺激するのは、“恋人”になったせいなのだろうか。
エマはリヴァイの舌遣いに、脳内が徐々に蕩けていくような感覚に陥りながら、ぼんやりとそんなことを思っていた。