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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第17章 心を通わせた先 ※





「……おい。いつまでそんなところに突っ立ってるつもりだ?」

「だ、だって……!」



窓際に置かれた椅子に腰掛け、足を組んで頬杖をつきながら眉間に皺を寄せているリヴァイ。

目線の先には、ドアの横に立ち服の裾をぎゅっと握りながら微動だにしないエマの姿があった。


リヴァイのついた大きな溜息に、テーブルの上を照らしている蝋燭の炎がゆらりと揺れる。







ここはウォール・シーナ内の宿屋の一室。


あの後、辺りはすっかり夜の闇に包まれていたため、エマを連れてあのまま馬で兵舎まで戻るのは無理だと判断し、ここで一泊してから帰ることにした、のだが。



「お前はこのままそこで寝るつもりなのか?」

「いっいえ、」


何を警戒しているのかエマは部屋に着くなり扉のそばから動こうとしないのだ。


晴れて恋人同士になれたわけだし、なんの躊躇いもなくダブルベッドの部屋を一室選んだ訳なのだが、フロントの宿主にそう伝えた時のエマの慌てようときたら…

この流れでわざわざ別の部屋で寝る方がおかしいだろ、と言えばまぁ納得はしていたのだが、如何せん部屋に着いた途端足が床にひっついたように動かなくなったエマに、リヴァイは苛立ちを募らせていた。



「ならいい加減こっちに来い。」

「う……」

「……はぁ」


リヴァイは痺れを切らして立ち上がり、再びため息を漏らしながらツカツカとエマに近づくと、その手を強引に引っ張った。


「ちょっ、兵長…」

「同じ部屋で一晩過ごすぐらいなんてことないだろ。それとも俺と一緒にいるのが嫌なのか?」


ベッドの前に立たされて呆れたような三白眼に見つめられれば、エマは顔を赤らめながら慌てて話し出した。


「へ、兵長にとってはなんてことないかもしれないですけど…私にとっては一大事なんです!」

「ほう……さっきは外で抱き合ったりと大胆なことしてたくせに、か?」

「あ!あれはその場の雰囲気もあったりとか、私もつい舞い上がっちゃって…だから今はさっきとは心持ちが違うんですっ!」


エマは火照った両頬に手をあてて俯いた。

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