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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第16章 旅立ちの日




「オルオさんごめんなさい…」

馬車に揺られながら、エマは小さく呟いた。



本当はリヴァイからは何も頼まれていない。

そして、調査が終わったら皆で酒を飲むという約束も果たせないだろう。



昼下がりの日差しが窓から差し込み、車内を暖かな空気が包む。
乗り慣れていない馬車の揺れが心地よく身体を揺らした。

エマは胸に抱えた紙袋をギュッと握りしめ、過ぎ行く景色達を目に焼き付けるように見つめ続けたのだった。



















一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一


時を同じくして壁外一



「いやったぁぁあ!!!5m級、捕獲成功!!」

「やりましたね、分隊長!」


視界の隅で両拳を上げて喜ぶハンジとその隣に安堵した表情のモブリット。


今しがたこの補給拠点に到着する前に、例の新兵器を使った巨人の捕獲作戦が見事成功したのだ。

四肢を切断され捕獲網に何重にも縛り付けられ、荷馬車に乗せられた巨人は低い呻き声を上げながらもがいている。



「おいハンジ。当初の予定よりも幾分か小さい奴だが、これでいいのか?」

「何リヴァイ?!やっぱり物足りない?!これはこれで被検体としては役に立ちそうなんだけど、私ももっと大きい子も欲しいと思ってたんだよ!それならもう一度」

「それは却下する。」


鼻息を荒くしてリヴァイに近寄るハンジを冷静な声が遮った。



「なんだよエルヴィン!もう少しくらいやってみても問題ないだろ?!」


「ダメだハンジ、今回の一番の目的を忘れるな。
我々は無事ここまで奪還ルートを伸ばすことができた。ここに拠点の設営と物資の補給が済んだらすぐに帰還する。捕獲兵器も十分試せただろう?今回はこれだけの成果をあげられればもう十分だ。」


「それは分かってるけど…」


「まだ余力は残っていると言いたいんだろ?確かに今回はここまで来るのにあまり巨人と遭遇しなかったし犠牲者の数も少なく済んでいる。
だがそれでも一体の巨人を仕留めるのに幾人かの命を犠牲にしたのも事実だ。

お前の気持ちも分からなくはないが、次の壁外調査に繋げるために今はこれ以上の犠牲を払うべきではないんだ。
またチャンスはある。ここは我慢してくれ。」

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