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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第15章 喪失 ※




「………」


畳み掛けるように浴びせられた言葉達は、尖ったナイフとなって私の心に容赦なく突き刺さっていった。


「はっ!何も言い返さないってことはあんたも分かってるんじゃない?自分は役立たずだって。あんたみたいなのがいるとこっちも目障りなの、さっさと消えて。」


彼女はひとしきり罵声を浴びせるとスッキリしたのか、胸ぐらを掴んでいた手を乱暴に離し踵を返して立ち去ろうとした。







「そ…そうですよね。」



去り際の彼女の背中に私はポツリと呟いた。
自分でもびっくりするほど震えていて情けない声だ。

彼女は足を止め、こちらを振り返る。


「あなたの言う通り、私は机仕事以外なんの取り柄もないただの凡人です。巨人の討伐も立体機動も出来ません。
そんなのが兵長の秘書面して、あなたと兵長の邪魔をしていたなんて気付きませんでした。ごめんなさい。」


私は震える声で精一杯の言葉を発し、謝罪した。




「………今後は一切、私の邪魔はしないで。」


彼女は私に背中を向けたまま、冷淡な声でそれだけ言うと兵舎の中へ戻って行った。
















「…………」


再び一人になった私は、ふらつく足元を無理矢理動かし始める。



どこに行くつもりなのか自分でもよく分からない。

ただここにはもう居たくなくて、どこか遠く、遠くへ行きたい。





さっき想像した通りだった。

あの人は兵長の彼女で、私は二人でいる所を偶然見てしまったんだ。

そしてあの人は私の存在が邪魔だと言った。

もしかしたら、本当は兵長も同じことを思っているのかもしれない…




女の人の言葉が何度も頭の中で繰り返される。


「ほんと、あの人の言う通りだよ…そもそも私がこの世界に来たこと自体が間違いなんだ……」




涙はもう出ない。

代わりに、はっ、と乾いた笑い声が外の冷たい空気に吸い込まれていった。


その時一














「誰かいるのか?」


突然後ろから聞こえた声に、現実に引き戻される。

振り向くと、手に持ったランプを掲げ覗き込むようにこちらの様子を伺う人影があった。


私はそれが誰なのか、聞き慣れた声ですぐに分かってしまった。







「…エルヴィン団長。」




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