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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第15章 喪失 ※




リヴァイにその気がないことを悟った女は青い瞳を涙でいっぱいにし、腕を握る力を強めながら話しだした。


「私はシェリル・ミーナと申します!
兵長はご存知ないかもしれませんが…私は入団した頃からずっと兵長だけを見てきました。
でも…今回の壁外調査を最後に退団することを決めたんです。父親が死に、足の悪い母親の傍に居てあげたいと思って。
これまで兵団の一員として、兵長にお従えすることができてとても幸せでした。
でも、今回の壁外調査で死ぬかもしれない。生きて帰ってこれても、もう兵長に会うことはない思うと、どうしても今夜………」


シェリルと名乗った女兵士は一方的に話をしながら、リヴァイの腕を引き執務室の中へ入っていった。


「おい!?」

リヴァイは声を荒らげるが、シェリルはお構い無しに部屋の奥へと進む。

予想外な動きに驚いたリヴァイは反応が遅れ、気が付くと執務机に後ろ手を付いて体を支えるような体勢になっていた。


「兵長……たまにこうやって言い寄ってくる兵士の相手をしてるんでしょう?だったら私の相手もしてくれますよね?」

憂いを帯びた青い瞳が揺れる。


「チッ…」


「キャッ!!」


リヴァイは小さく舌打ちをした直後、くるりと体を反転させ素早くシェリルの後ろに回り込むと、今度は彼女の体を執務机に追いやった。

シェリルは咄嗟に背後の机へ後ろ手を付き、先程のリヴァイと体勢が逆転した状態となった。


シェリルは潤んだ瞳をいっぱいに見開き、黙ってリヴァイを見つめている。

その瞳はこれからリヴァイにされることを期待しているような、そんな目だった。




「シェリル、と言ったな…」

「……はい」


リヴァイは熱っぽく見つめる視線に鋭く尖った視線を交える。



「すまない…お前の言う通り女を抱くこともあったが、もう今はしていないしする気もない。」



「……!!」


シェリルは一瞬驚いた顔をした後、半ば懇願するような顔になって投げかけた。


「それは…今後もそういうことは一切しないということでしょうか……」

「あぁ、そうだ。」


リヴァイがはっきり言い切ると、シェリルは“そうですか…”と小さく呟いて目を伏せた。


しかし次の瞬間、シェリルは目の前に立つリヴァイに顔を寄せ、その唇を強引に奪ったのだった。



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