第14章 心を癒すのは
時を同じくして調査兵団の兵舎内一
バンッ!!
「リヴァイ!やっと会えた!」
「…なんだ。」
朝からノックも無しにズカズカと執務室に入ってきたハンジ。
休日なのに兵服を着ているところを見ると、今日もモブリット辺りと兵器の準備に注力してるってとこか。
まぁ俺も例に漏れず休日出勤なんだが。
「ずっと話したかったんだよー。本当はもっと早く来たかったんだけど、調査前の準備やらで忙しくてさ。」
「だからなんだ。」
ほっとしたような表情で話すハンジにリヴァイが用件を急かすと、今度は急に真剣な顔付きで向き直った。
「リヴァイ。率直に聞くけど…エマに何かした?」
「何の話だ。」
何かした?と聞かれたら、まぁ思い当たることはなくもないが、答える前にもう少しこいつの思惑を知りたいところだ。
「最近、エマが狂ったように仕事に明け暮れてるのはリヴァイも知ってるだろ?」
「あぁ、夜もお前のところを手伝ってるみたいだな。」
「おかしいと思わないかい?いくら忙しい時期だとしても急にあんなに昼夜問わず働いて。」
「………」
それくらい俺にも分かってる。
そしてその原因は自分にあることも重々承知している。
……だが今日まで、何もして来なかった。
黙り込んだリヴァイにハンジは続ける。
「もう一週間も前の話になっちゃうんだけど、エマが泣いてたんだ、私の研究室の前で。」
「…………」
………あの時のことか。
「その顔、やっぱり思い当たる節があるんだね。」
「…別にお前に言うほどのことじゃねぇよ。」
「……じゃあ質問を変えよう。」
ハンジはピシャリと断ったリヴァイから目を逸らさないまま、少し考えたあとまだ何かを聞き出そうとする。
「リヴァイはエマのことが好き?」
「は?」
いきなり思いもよらぬ質問をされて、リヴァイは思わず声が上ずった。
「いや、好き?じゃなくて、好きなんだよね?」