第13章 板挟みの中で
長い舌が、小さな口の中をゆるゆると這う。
「はぁっ……」
エマはその中でうまく呼吸するタイミングが掴めず、苦しそうな吐息が漏れてしまう。
するとリヴァイは艶めかしい口付けを続けながらエマの座るソファへと両膝を乗せ、背もたれに手をついて自身の体を支えると彼女に覆いかぶさった。
素早い動作だったが決して乱暴ではなく、あっという間に身体の自由を奪われたエマは抗う余地などなかった。
リヴァイの舌はエマの口内を隅々まで調べあげるかのように動き回り、時折唇を離しながら何度も顔の角度を変えて侵入してくる。
エマはその僅かな隙間で必死に呼吸をし、なんとか脳内へ酸素を送り込むが、だんだんそれですら酸素が足りなくなって苦しくなり、リヴァイの胸を弱々しく押した。
「鼻で呼吸しろ。」
「はぁっ、はぁっはぁ…………んんっ…」
リヴァイは苦しそうなエマに短く助言すると、また舌を差し込み彼女の舌にねっとりと絡め合わせ始めた。
耳には口の中から漏れる妖艶な水音と、時折聞こえるリヴァイの小さな息遣いが響き渡る。
エマの頭は、もはや酸欠ではなく違う意味で思考が停止しそうになっていた。
脳がとろりと溶け落ちてしまいそうな、先程のエルヴィンとのキスでも味わったあの感覚だ。
いや、あの時よりもその感覚は強いかもしれない。
このままキスし続けたら、自分はどうなってしまうのか…
エルヴィンの時にも思ったことがぼんやりと頭をよぎった時、口内這いまわっていた舌はゆっくりと引き抜かれていった。