第13章 板挟みの中で
「エルヴィンとどこまでやっ」
「わーわーわー!!」
再び聞き返してくるリヴァイに、エマは両手をブンブン振りながらその声を遮った。
「急に大声を出してなんだ。」
「なっなんだ、じゃないですよ!普通そんなこと聞きます?!」
突拍子もなさすぎる質問に慌てふためいてしまうエマ。
この人は一体何を考えてこんなことを聞いてくるんだ…
「気になるから聞いてるまでだが?それのどこがおかしい。」
「………」
肘掛に頬杖をつき、足を組んでこちらを注視する至って冷静なリヴァイに、エマは自分の方がおかしいのかと錯覚しそうになってしまった。
そんなこと面と向かって言えるわけないよ!
だいたい、兵長もそれを知って何になるっていうの…
「答えられねぇようなことまでしたのか?」
「しっ!してません!!」
エマは思わずソファから立ち上がり声を張った。
「なら言え。エルヴィンとここで何をしていた?」
リヴァイは自分の前に立つエマを、顔色ひとつ変えずに見上げている。
「……っ」
何でこんな尋問みたいな聞かれ方しなきゃいけないのぉ…
しかも団長から一方的にされたことなのに…
言いたくない。
言いたくないが、いつもの鋭い眼力と拒否権を一切与えぬ物言いに、エマにはまたも正直に白状する以外の術は残されていない。
「………き、キスを…されました。」
押し問答の末、エマは蚊の鳴くような声で言い終えると、重力に任せドサッとソファへ体を沈めた。
羞恥で顔が上げられない。
恐らく耳まで真っ赤だ…