第2章 始動
「一なるほどねぇ。事情はよくわかった。
この世界に来たことは不運と言ってしまっていいのか微妙なところだけど、本来なら出会うことのない私達がこうして出会えたんだから、私は嬉しい。
なんだか神秘的なものすら感じるよ。」
「そう言っていただけると救われます、ハンジさん。」
一通り話を聞いたハンジは、少し興奮した様子で話し出していた。
「いやー!しっかし面白いことが起きるもんだね!
私は今君にとても興味があるよ、エマ!君のことも、君がいた世界のことも!
今なら興味の度合いは巨人よりもエマの方が数段上だね!」
「あの、さっきから気になってるんですけど、巨人っていうのは、その、文字通りの巨人のことですか…?」
「巨人の話はまだ聞いてなかったの?」
「あまりいっぺんに話すとこいつも混乱するだろうからな、まだこちらの世界の話はほとんどしてない。」
リヴァイがそう言うと、ハンジは目を見開いた。
「そういうことならエマ!この私がぜひ教えてあげるよ!」
ハンジはエマの手をとると、両手を強く握りしめて目をキラキラさせていた。
「え、あ、はい。ありがとうございます!」
「という訳だ。エマ、ハンジから色々と聞くといい。ハンジ、今日一日、エマを頼めるか?」
「もちろん!喜んで!」
「…まぁせいぜい頑張るんだな。」
こうしてエマは、ハンジに兵舎の案内からこの世界の話までを色々と教えてもらうことになった。
エルヴィンにエマを任されハイテンションなハンジとは裏腹に、リヴァイはその様子を呆れ顔で眺めながら、エマにポツリとエールを送っていた。
よかった…!
エルヴィン団長もハンジさんもすごく親切な人だ。
それにハンジさんは同じ女性だし、男の人には聞にくいこともハンジさんになら聞ける。
それにとても明るい。一緒にいたらすごく楽しそうだ。
リヴァイさんの言った「頑張れ」の意味はよく分からなかったけれど、とにかくこれからの生活に少しは希望が持てそうだ。