第11章 ウォール・シーナにて ※
「あの……気になったこと聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
「兵長、何で私があの宿にいるって分かったんですか?」
エマは不思議そうに尋ねると、リヴァイは
「俺の勘だ。」
とさらっと答える。
「え?!いくらなんでもそんな事ってあるんですか?!」
エマは嘘だ、とでも言いたげな表情である。
「まぁ今のは大袈裟に言ったが、だいたい商店のある通りにお前がいないと分かった時点で嫌な予感はした。
だから最悪を想定して、宿が多いこの辺りを重点的に探したら、案の定ってわけだ。」
「すごい……探偵みたいですね。」
すらすらと説明するリヴァイに、感心の声を漏らすエマ。
「だが時間がかかりすぎた…本当はアイツにはお前に指一本でも触れさせたくなかった。」
「私は…兵長に助けてもらっただけで十分だと思ってます。」
「俺が気に入らねぇんだ。」
リヴァイはエマをまっすぐ見つめ、語調を強めて言った。
「お前には警戒心が足りてない。これからはもう少し気を付けて欲しいが、それだけじゃ心配だからな。
だからエマ、これから外を出歩く時は必ず俺とにしろ。もし俺が無理なら、誰かと一緒に行動するようにしろ。いいな?」
「あっはい。ありがとうございます…。」
リヴァイのまっすぐな眼差しと有無を言わさぬ物言いに、エマは思わず背筋を伸ばした。
自分のことをここまで心配させてしまったリヴァイには申し訳なく思ったが、この少々束縛気味な提案に対しては何故だか少し嬉しく思ってしまったのであった。