第11章 ウォール・シーナにて ※
そう話すリヴァイの視線の先には、華やかな服装の気品漂う女性の姿があった。
女性はリヴァイに気付いているようで、柔らかな笑みをこちらへ向けている。
ただ、リヴァイの表情はあまり穏やかなものではなさそうに見えた。
「大丈夫です!私に構わず行ってきてください!」
「すまねぇな…なるべく早く戻るようにするが、少し時間がかかるかもしれねぇ。この辺りは店も多いし治安もいい。適当に時間を潰しといてくれるか?」
「分かりました!」
リヴァイはエマに一通り喋り終えると、足早に店を出て行った。
一人になったエマは、道行く人々をぼーっと眺めながら、石畳を歩いていた。
道沿いにはエマの世界では見かけない店が多く興味を引きそうだったが、今はそれよりもリヴァイのことが気がかりでなかなか見て回る気にはなれなかった。
あの人は誰?
一瞬恋人かとも考えたが、リヴァイの曇った顔を思い出すとあまりそうは思えなかった。
詮索する立場では無いのはわかっているが、気になって仕方がない。
そこへふと、ハンジの話していたことが思い出される。
もしかして、あの人は内地の貴族の…?
エマはそこまで考えると、その先を想像するのが苦しくなり、かぶりを振って前を向いた。
しかし…