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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第11章 ウォール・シーナにて ※




「そんな…人類の為に命を賭してまで戦ってるのに…酷いです。」

リヴァイの話を聞きながら、エマは膝の上で拳を握り締めていた。






自分はこの世界の厳しい現実的な部分は何も見ていないし、特に説得力もない立場だ。


しかしそれでもこの一ヶ月間で、エルヴィンやリヴァイをはじめ、本気で人類の為に戦おうと日々奮闘している調査兵の姿を見て、その思いを少しは感じ取ってきたつもりである。


だから、彼らがどんな思いで過ごしているのかよく考えもせず、そんなことを言う人間がいるのをエマは許すことができなかった。





「胸糞悪いだろうが、これが現実だ。」


リヴァイは悔しさを滲ませるエマの頭にポンと手を置いた。




「兵長…私、もし人生やり直せるならこの世界に生まれて、調査兵になりたいです。」

「ハッ…大した度胸だが、それは止めておけ。」

いきなり真面目な顔をして宣言したエマに、リヴァイは小さく笑いながら返す。


「言っておきますけど私本気ですよ?」

「そうか。まぁ…お前みたいに意思の強いやつならいいかもな。ならもし生まれ変わったら、犬死しないような優秀な兵士を目指せよ。」

「はい!必ず!」


有り得もしない話を真面目に続けるエマだが、リヴァイはそんな彼女を優しく見つめ、彼女の頭に乗せた手をぐしゃりと撫でた。






















一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一



昼食を食べて間もなく、リヴァイとエマは会議室へと向かう。
その途中で廊下を歩くエルヴィンと再会した。



「さっきはすまなかったな。昼飯は食べたか?」

「あぁ、さっき。」

「そうか、なら行こうか。」


エルヴィンはリヴァイにそれだけ言うと、すぐに背中を向け歩き出す。

エマは二人の後を早歩きで追った。




眼力の強さを際立たせる鋭い眼差しと、ピクリとも口角を上げない唇。
そして全身から醸し出されるどこか冷酷な雰囲気。


完全にスイッチが入っているのだろうか、初めて見るエルヴィンの姿にエマは思わず肩に力が入ってしまうのであった。





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