第9章 好きって何?
エルヴィンが去るのを見届けたあと、部屋の奥に引っ込んでいたハンジの元へと戻った。
「そうかー、明日からエルヴィンの仕事も手伝うんだね。」
「はい!頑張らなくちゃです!…ってその顔何ですか?」
顔の前で開いていた本から半分だけ覗かせた顔は、なんとも怪しげな笑みを浮かべている。
「別にー?エルヴィンもガンガンくるなぁと思っただけ。」
「え?!これってそういうことなんですか?!」
ニシシと笑いながら冗談めかすハンジに、そんなことまったく考えもしなかったようで慌てるエマ。
「ごめんごめん、ちょっとからかっただけ!真意はエルヴィンにしか分からないけどさ。」
「そうですよ!それにどんな理由であれ頼ってもらえたことには変わりないですから!」
「うん、そうだね。」
真面目な彼女に対してハンジはニヤニヤするのを抑えながら相槌を打つ。
すると少し間をおいてから、エマが口を開いた。
「あの、ハンジさん。」
「ん?」
「団長と兵長、すごくモテるって言ってましたけど………その、どのくらいモテるんですか?」
エマはふと頭に沸いた疑問を率直に聞いた。
自分から見てもかなりモテそうなのは分かるが、実際どのくらい人気があるのかが単純に気になったのだ。
「そりゃあすごいよ!兵団の女性からはもちろん、内地の貴族のご婦人達からも大人気さ。あの二人は仕事でよく内地にも行くんだけど、彼女たちの接待も兼ねて行ってるようなもんだよ。」
「そうなんですか!」
予想はしていたけど、兵団の外でも人気が凄いんだ。
2人とも眉目秀麗で、片や調査兵団団長、片や人類最強の兵士長ともなれば注目さるのも当然か…
一人でうんうんと納得していると、ハンジが続ける。
「まぁその貴族婦人達と二人のおかげもあって、調査兵団が回ってるようなところもあるからね。」
「え?どういうことですか…?」
複雑そうな顔をしながらそう話すハンジの言葉の意味がよく分からずまた首をかしげると、ハンジは少し言いずらそうにして答えた。
「彼ら…婦人達の相手して、兵団の資金援助をしてもらってるんだよ。」