第9章 好きって何?
ちょうどその時、ドアをノックする音が聞こえる。
「ハンジ、いるか?」
「お、噂をすればなんとやらってやつだね。」
ハンジはエマに耳打ちすると、はいはーいと言いながらドアへ向かった。
「こんな時間に私の部屋に来るなんて珍しいねー、エルヴィン。」
「いきなりすまないな。エマはいるか?」
「あぁいるよ。エマー!」
ハンジはエマに手招きする。
エマは小走りでハンジの元へ向かった。
「エルヴィン団長、どうかしましたか?」
「あぁ。突然なんだが…明日から私の執務を手伝ってくれないか?」
「明日からですか?」
エルヴィンからの突然の頼み事に、エマは思わず聞き返す。
「リヴァイには許可は取ってあるから心配いらないよ。
最近はあいつの仕事も落ち着いてきたようだし、私も有能な秘書の力を少し借りたいと思ってね。」
エルヴィンはそう言うと、エマに向かって微笑んだ。
「そうですか。それなら私は構いません。むしろ、団長のお手伝いも出来るなら私も光栄です!」
リヴァイだけでなくエルヴィンの役にも立てるなら…とエマは張り切って答えた。
「そう言ってくれて助かるよ。」
「団長、最近忙しそうでしたもんね。私に出来ることならなんでもしますので何なりと言ってください。」
「ありがとう。ではさっそく明日、朝食後に団長室まで来てくれるか?」
「分かりました!」
エマが明るく返事をすると、エルヴィンは微笑んだまま大きく頷く。
「よろしく頼む。邪魔をしたね、ではまた明日。」
「はい!おやすみなさい。」