第9章 好きって何?
「え?!分からないってどういうこと?!」
ハンジは少し離れて驚いたように大きな声を出した。
エマは言いづらそうにしながらも、もじもじと続けた。
「その、いるにはいるんですけど、どっちなのか分からなくて…」
「………もしかして、リヴァイとエルヴィン…とか?」
確認するように問うハンジと目が合うと、エマはかぁっと顔を赤く染めコクリと頷いた。
それを見てハンジは、驚愕の表情からニヤニヤとなんだか嬉しそうに口角を上げだしている。
「まじかー!!その様子だと既に何かあった感じ?なに、キスでもされた?!」
「キッ…!!そんなことはされてません!
ただ……二人に抱きしめられました。」
「え?!二人ともに抱きしめられたの?!それどういう状況?!もしかしてエマ、二人いっぺんに相手を…」
「ち!違いますってば!ハンジさん、落ち着いてください!」
勝手な妄想を繰り広げて興奮しだしたハンジを制止すると、エマは数日前の歓迎会後の話をした。
「あぁ、ダメだ。話してたら恥ずかしくなってきました…」
「ハハハ!事細かにありがとう。でも二人とも完全にエマにお熱っぽいね。」
「やはりそうなのでしょうか。」
「絶対そうでしょ!二人ともかなりモテるけど、あんまり表立って彼女とかの噂はないんだよね。だからそんな二人が同時にエマにってのにはびっくりしたよ。」
「そ、そうなんですね…」
確かに二人ともカッコイイし、団長と兵士長という立場からも人気が出るのは間違いないなと思った。
だけど、そんな二人がなぜ自分なんかに…
エマにはどうしてもそれが分からなかった。
「それで、リヴァイもエルヴィンもエマに脈アリで、エマはその二人のどっちが好きなのか分からない……ていうかそもそもその気持ちが好きなのかも分からないってことなんだよね?」
「…た、たぶんそういうことになります……」
改めて言葉にされるとまた恥ずかしくなってしまう。
「んー…例えばさ、それぞれに抱きしめられた時どう思った?何かエマの気持ちに違いはあったの?」
「違い…」
エマは目を瞑りあの時のことを思い出すと、また心臓がうるさく鳴る。