第6章 俺が守る
「俺には、盃を交わした兄弟がいる。同い年のエース、3歳下のルフィ。」
彼女の頬を親指で優しく触れた。
サボの金髪がそっと揺れ動く。
「エースって、火拳のエース?」
リラは、サボからその名前を聞き、驚いて彼の顔を見た。
「……あぁ。俺とエースは兄弟でもあり、親友でもあった。ルフィは可愛い弟。血が繋がってなくても兄弟の盃を交わした仲だったんだ。」
「サボとエースが……親友…?それに、ルフィ…?海賊麦わらのルフィ?」
「そうだ。」
サボから聞かされた"エース"という名は、リラが以前助けて、助けて貰った、自分の大切な友達の"エース"だった。
麦わらのルフィのことは、新聞や手配書で顔くらいは知っていた。屈託のない笑顔で手配書に写るその男は、掛けられた懸賞金の額からは想像出来ない、とても凶悪な海賊には思えなかった。
「…私…」
言いかけて、涙で言葉に詰まってしまった。
「…リラ?どうした?」
サボが優しく、リラの目元から溢れ出る涙を指で拭う。
「…サボ…私…エースと友達なの……」
「……!?なっ…」
驚いて、サボも言葉を続けられずにいる。
「エースを助けてあげたことがあって。助けたというか、空腹で倒れていたエースにご飯を食べさせたら、私が危ない目にあった時、助けてくれて。恩返しだって。それで、その島に少し滞在していた間だけ、用心棒を買って出てくれたの。昔話を聞いた時、盃を交わした兄弟がいるって聞いた…それ、サボと麦わらのルフィのことだったのね…」
サボは彼女の話を静かに聞いていたが、少しして、リラを徐に抱きしめた。
「そうだったのか…リラとエースが友達…なんだか俺とリラは出会うべくして出会ったのかもしれないな。」
小さく呟いて、彼女を抱きしめる腕に力を込めた。
そしてサボは続きを話しはじめた。