第6章 俺が守る
「ルフィとエースには、俺は死んだことになっているはずだ。俺達は、海賊になることを夢見てた。自由に楽しく、過ごしてたんだ。俺は貴族だったけど、その生活が嫌で10歳の頃、一人で海に出た。その時重症を負った。天竜人に撃たれたんだ。あれだけの爆発だ、きっと死んだと思われてる。でもそれを助けてくれたのがドラゴンさんでね。その怪我で俺はずっと記憶を失くしてた…」
サボの語る過去は、リラがエースから聞いていた過去と重なった。
もしサボが助かっていなかったら、こうして出会うことはなかった。
(サボが生きてること、エースに教えたかったな…)
「エースの死で、ショックで記憶を取り戻したのね?」
「あぁ…。エースが教えてくれたんだ、お前はサボ、俺とルフィの兄弟だって。でも、俺は…兄弟が死んだのに何も出来なかった…」
リラは、声を震わせながら語るサボを抱きしめた。
「サボ、エースの意志は死なない。まだ生きてる。あの時その場にサボがいたら、何かできた?そんなこと誰にも分からない。
サボには私も、ルフィくんも、コアラさんやドラゴンさんがいる。心の中にエースがいる。」
「あぁ、そうだな…俺は兄としてルフィを守る役目がある。エースの意志を継いで、それを守る役目…リラ、そばで俺を支えてくれるか?ずっと傍にいてくれるか?」
「いるわ。サボこそずっと居てね。」
当たり前だ、と言葉を返す代わりにリラの唇を塞いだ。
(俺には、お前を守る役目もあるんだ…)
触れては離れ、触れては離れを繰り返すサボの唇。
額と額をくっつけて彼女に告げた。
「リラを…抱きたい…一ヶ月の任務に発つ前に言ったよな?」
「…言われたけど…サボ…恥ずかしいから…だめ…」
額を離し、サボはリラの顬(こめかみ)にキスを落とした。
「可愛い…ますます抱きたくなった。」
抱きたいという言葉がどんな意味を持つか、リラにも分かる。
それが分からないほど子供じゃない。
身体を重ねたいということ。
恋人同士なら当たり前のことだ。
だが、知ってはいても、子供じゃないといってもリラは処女だ。
自分の裸を見られるなんて恥ずかしくて死んでしまう。
相手の裸だって恥ずかしくて見れるわけがない。
顔を赤らめ、サボを見つめた。