第6章 俺が守る
「リラさん、休みなさい。サボを思うならね。」
肩に手を置いて、ドラゴンが休むように促した。
「分かりました…ドラゴンさんにまで言われてしまっては…」
苦笑を返し、リラは自分の部屋に戻り、少しだけ休むことにした。
ドラゴンはコアラに言った。
「リラさんをあとで起こしてあげなさい。」
「はい、ドラゴンさん。」
その後、サボが目を覚ますまでの間ずっと、リラはサボの傍で過ごした。
食事を部屋でとり、サボのベッドの脇で座ったまま眠った。
コアラは、サボの様子を見つつ眠ったリラに毛布を掛けて、部屋を出ていく日々を繰り返した。
三日目、コアラとハックが様子を見に来た時、サボが目を覚ます。
「……んんっ…」
目を開けると、天井が広がっていた。
「サボくん!わぁーん、よかった〜!三日も目を覚まさなかったんだよ!」
コアラの声に、そばで眠っていたリラは目を覚ました。
「…!サボっ!よかった…心配したんだからぁっ!」
リラは、美しい瞳を潤ませながら、目を覚ましたサボの胸をポカポカと叩くと、腕を掴まれ、抱きしめられた。
「リラ…心配させてごめん。」
「……うん。」
抱きしめた彼女は、いくらか痩せたようだった。
三日で、痩せてしまうほど、彼女を心配させたのかとサボは申し訳なさでいっぱいだった。
抱きしめていた彼女の身体をゆっくりと離し、みんなに知らせてくる!と飛び出して行ったリラの後ろ姿を見送る。
「…コアラもハックも心配かけて済まなかった…」
そう謝罪をしながら、二人に目線をやると、サボは泣いてるコアラに驚いた。
「記憶、戻ったんだね、サボくん!」
「ああ、思い出したよ。自分が何者なのかを。ドラゴンさんは、いる?」
そんな話をしているとリラが戻ってくる。
ベッドの側に来た彼女の腕を引き、サボは再び彼女を抱きしめた。
「……全て思い出した。ドラゴンさんに話がある。リラ、ここで待ってて。」
サボはリラの身体を離し、ベッドから降りた。
「行こう。」
コアラとハックと共にサボは部屋を出てドラゴンの元に向かった。
リラは一人、部屋に残された。