第6章 俺が守る
一ヶ月の任務の中で、サボはリラの祖先を知っている人物に会った。
そこで分かったこと。
リラの祖先はその国の元国王で、国を滅ぼしたと言われているのは、その娘。つまり、王女だということがわかった。その子孫がリラ。その王女もとても美しかったという。
そして、今起きている戦争の武器の出処は、ある裏組織から買い占めたものだということ。
それだけの情報を持って、サボらは本部に帰還する。
「一ヶ月ぶりだね、バルティゴ…」
「あぁ…」
海を見つめながら、コアラの言葉に上の空で返事をしたサボは、知らない誰かを記憶の彼方に思い出していた。
大切な恋人以外に守らなければならない人が他にいる気がする…とずっと思っていたサボは、この時はまだそれが誰なのか、ハッキリ分からずにいた。
バルティゴに戻り、扉を開けた二人は、中のメンバーが慌ただしくしているのに遭遇する。
それは、白ひげと海軍の衝突、頂上戦争が終結したからだった。
……知らないどこかの海賊が、海軍に捕まり、死亡したと聞いた。その海賊はこの時代の危険因子として公開処刑されるところだったと……
「死んだのは、白ひげと、”火拳のエース”で赤犬に身体を貫かれたらしい。」
サボは頂上戦争について書かれた、”火拳のエース、死亡”の記事を目にする。
その途端、サボは、泣き崩れ、叫び声をあげ倒れた。
「うわぁぁぁぁっ!!!」
(死んだのはどこかの知らない海賊なんかじゃない!取り除かれるべき海賊の危険因子なんかじゃない!エースは俺の兄弟だ!)
全てを思い出し、意識を失った。
「サボっ!!」
「サボくん!」
倒れるサボを支えるリラ。
そこに、コアラと、ハックが駆け寄ってきた。
「すごい熱…」
倒れたサボをリラは一晩中そばで見守った。
食事や睡眠をあまり取らずに。
「リラちゃん、少し休んだ方がいい。」
コアラが心配し、声を掛けてきた。
「でも、サボがいつ目を覚ますかもしれないから。」
サボの手を握り、額の汗をタオルで優しく拭う。
「心配なのは皆同じ。私にはリラちゃんの方が倒れるんじゃないかと心配なの。」
「私ね、"火拳のエース"は、友達だったの…よく…」
言葉を続けようとした時、サボの部屋の扉がノックされ、ドラゴンが様子を見に入ってきた。