第6章 俺が守る
準備を終え、この日の夜もまた、サボはリラを抱きしめながら眠った。
翌朝、早朝の出港にも関わらず、見送りのため、多くの革命軍メンバーが出てきていた。
一ヶ月分の荷物を積み終え、いよいよ出港が迫る。
サボは、リラのそばに駆け寄ってくる。
「心配するな、無事に戻ってくるから。俺の代わりに、しっかりドラゴンさんに守ってもらえよ?行ってくる。」
リラの頭に手を乗せ、そう言ったあと、彼女を抱き寄せた。
「はい。サボ、気をつけてね。いってらっしゃい。」
サボの鼓動を感じながら、リラは答えた。
サボはゆっくりと身体を離すと、リラの耳元で囁いた。
「帰ってきたら…お前を抱くからな。」
そう言われ、リラは、恥ずかしさと耳元で囁かれた擽ったさとで、顔を真っ赤にして手で顔を覆ってしまった。
(そんな可愛い反応するなよ…っ!)
サボが、そんな風に思っているとリラは手を離して、サボを見た。
「…ば、バカっ…」
と、言って顔を真っ赤にしながらサボの胸を叩くも、痛みなど微塵も感じてないような素振りでサボにその手を取られ、身体を引き寄せられて唇を奪われてしまう。
抵抗など出来ない、何度も角度を変えた深いキスに、リラは、膝から崩れ落ちそうになる。
「…おっと。ごめん、あんまり可愛い反応するもんだから…つい…」
サボはリラの身体を支えながら、ペロリと舌を出して頭を掻く。
全然悪いと思ってないでしょ!とそんなサボを睨みつける。
すると、コアラが声を掛けてきた。
「サボくんっ、やりすぎよ!出港するわよ!早くしなさい。」
「あぁ、わかったよ!」
と答えながら、再びリラの頬を撫でて、行ってくる、と呟いてその場を去って行った。
サボは、船の側にいるドラゴンの前で足を止めた。
「ドラゴンさん、リラをよろしくお願いします。」
「しっかり任務を果たして来るんだぞ。」
ペコリ、と軽く会釈をして船に乗り込んだ。ゆっくりと進み出す船。皆が手を振りながら、船影が見えなくなるまで見送った。
それから一ヶ月間、毎日サボはリラへの電伝虫を欠かさず、
任務もしっかりこなし、リラもまた、ドラゴンの元で秘書のような仕事をしながら、自分の出来ることを見つけたのだった。