第3章 君があまりにも可愛くて
見送りを終えると、食堂では朝食が用意されていた。
リラはサボと一緒に朝食を取った。
サボは、どこにそんなに入るの?というくらい食べるが、リラは、一人分より少なくてやっと食べれるくらい、食が細い。
「……サボ、朝から食欲旺盛ね。」
「リラはもう少し食べた方がいいな。」
リラが食べ終わるころには、サボは大盛り二人分をペロッと食べ終わっていた。
「なぁ、リラ。今日は俺の仕事を手伝ってくれる?」
「なにも分からないから、役に立つかは分からないけど、いいの?」
「大丈夫、簡単な仕事だから。あとで、俺の部屋に来て。」
そう言い残しサボは先に食堂を出て行った。
リラは食器を片付けると、サボの部屋の扉をノックした。
…トントン…
「はい。」
「リラです。」
「入って、空いてるから。」
リラが扉を開けると、サボが書類を見つめていた。
「ここ、座って。」
リラが座らされたのは、サボの机の椅子だった。
机の上には書類が山積みにされている。
「俺が目を通した書類に、俺の印を押してって欲しいんだ。ここに。」
サボは、印を押して欲しい箇所を指差した。
「それが仕事?」
「な、簡単だろ?」
「うん。」
「じゃ、まずこれにお願い。」
手元にあった書類を渡すと、サボは直ぐに次の書類に目を通し始めた。
リラは指示された所に印を押そうとすると、間違いに気がつく。
「サボ。」
「ん?」
「この綴り、間違ってるわ。Cじゃなくて、Sよ。」
「…ホントだ。作り直しだ。指摘してくる、ちょっと待ってて。リラ、他にもミスないか、見ておいてくれないか?」
うん、と彼女が頷いたのを確認すると、サボは部屋を出ていった。
リラは言われた通り、間違いがないか、神経を尖らせ目を通していく。
何枚か目を通した所で、サボが部屋に戻ってきた。
「ごめんごめん。間違いあった?」
「ううん、今のところないわ。……ねぇサボ…今外晴れてるよね?」
「…外?うん、天気いいけど。」
「ここって、変わりやすい天気じゃない?……」
「そうだね、変わりやすい天気かも。」
リラの手がふいに止まる。
サボはそれを見逃さなかった。