第3章 君があまりにも可愛くて
「サボ、おはよう!!」
ニコッと笑ったリラの笑顔に、不機嫌だったサボは一瞬にして上機嫌になり、リラの隣に座った。
「おはよう、リラ。眠れたか?」
「……ううん、あまり。おかげで隈できちゃった…」
リラの顔を見ると、綺麗な瞳を囲む下瞼のところにうっすらと隈が覗いていた。
「ホントだ…綺麗な顔に隈なんか作ったらダメだ。あとで、少し眠るといい。」
そう言って彼女の頭を撫で、ソファーから立ち上がった。
サボは気づいているのだろうか。サボの発言がいちいちリラをドキドキさせていることを。
リラは気づいているのだろうか。リラの、表情や行動がいちいちサボをドキドキさせていることを。
「コアラたちが、偵察で三、四日ここを空ける。見送りに一緒に行こう。」
サボがコアラの見送りを誘うと、リラも同意し立ち上がった。
「コアラさん、行ってらっしゃい!気をつけて。」
リラは、声をかけた。
「ありがとう。リラちゃん、サボくんに何かされたら大声出してね。私が近くにいないから心配…。」
コアラがリラの頭を撫でながら答えた。
「……コアラ…お前なぁ…」
頬を膨らませるサボ。
「ふふっ。分かりました、コアラさん。」
「じゃ、いってくる!」
「報告忘れんなよ!」
大きく手を振り、船に乗り込むコアラ。その船をいつまでも見送っていた。