年齢=恋人いない歴の私が神様の嫁候補にされてたんだが
第1章 #01
「まだです。娘は少々手ごわいようで。
私の手には落ちません。」
青年は悔しそうに唇を噛みしめる。
もう一人の白髭の神、恵比寿は陽気に笑う。
「くかかか。そうかそうか。
名前は婚期に入ったようだが他の男には靡いてない。
あの祖母の守護霊は本当によく働いてくれる。
ゆっくりしてもいいが、確実に獲物を仕留めろよ。
神であるお前が婿なら、名前は死後に女神になるぞ。
女神になれば、輪廻転生する事もできなくなるだろう。」
青年は対価などではなく、私の成長を見守っていくうちに、
私に心を奪われ本当に愛してしまっていた。
死後に女神になる運命ならそれもいいだろう。
そう言われ顔を青ざめる。獲物などではない。愛する人なのだ。
獲物か対価扱いしてもよいのか。
確実に私を手に入れてしまいたい。
青年の心は葛藤に蝕まれていた。
「恵比寿様。名前は獲物などでは…。」
「お前は我々二人が寄越した現世利益の対価として、
もうすぐ長女の嫁が手に入る。
それが不満だと言うのか。」
大黒が青年に言う。
「いえ。不満ではありません。
確実に仕留めてみせましょう。」
「そうだ、その意気だ。それではがんばれよ。」
青年は神殿から去って行く。