年齢=恋人いない歴の私が神様の嫁候補にされてたんだが
第1章 #01
私は青年といた。
あの霊視鑑定がきっかけで、青年が見えるようになってしまったのである。
青年はおよそ三十前後くらいで、白い狩衣を身に纏っている。
「お兄ちゃん!」
そう私に呼ばれた青年は目を見開き丸くする。
私の方を振り返り向いた。
ちょっと思ってた呼ばれ方と違ったみたいで
驚いてるようだ。
当たり前のように私の隣に座る。
「なんだい?」
「愚痴とかあるのかなって…。」
青年は頷き微笑む。
「愚痴?愚痴くらいはあるよ。
もう一人お守りの人と喧嘩してるんだよね。
着物着た女の人なんだけど、うちの孫に手を出すなってさ。」
思えば今まで変な男は寄ってきてない。
遊び目的で近付く男なんて近付いてきても遠ざけられる。
正直言って、見た目がよくないのも影響してるかもしれないが。
同級生の男にいじめられたりしたが、恋愛関係のトラブルに巻き込まれた事は
一切なくなく安全に過ごせている。
後にいる祖母のおかげかもしれない。
孫に手を出すようなら神にまで意見し怒鳴り散らす
過保護な私の祖母がいるのだと言う。
「恋愛なんて勝手にさせとけ」と言う意見の他の守護霊と
反りが合わず、私の担当をやめさせてしまう始末だ。
祖母も祖母で恋愛に関するトラウマを抱えていたのだろうかと
思うと切なくなる。
「守護様同士で喧嘩ですか…。おばあちゃんこの人神様ですよ…。」
「それが通じなくてね。」
青年は苦笑いする。
「神なんて信じないって。」
「まあそういう人もいますよねえ。無神論者ってやつかな。」
無神論者は確かに存在する。
霊能力者に話しかけられたのが
きっかけで青年の存在を知り話しかけてしまった以上
信じるしかない。