第1章 巨大樹の森に連れてって
「それは...その、やっぱり巨人がどんななのか知りたかったからです」
「ほう?」
「駐屯兵団は壁の中から出ることはないので、巨人については伝聞でしか知り得なくて...それでいてもたってもいられなくて来たんです」
あの入団体験のチラシを見て。想像とは大分違う体験だったけれども。
「...巨人が知りたい、か。悪くねぇ。が、奴らは神出鬼没でとくに奇行種などは何をしてくるか、瞬時に判断するのが難しい。そんなに焦らずとも、そう遠くない未来...嫌でもクソな巨人どもを大勢見ることになる。それまでに少しでも死なねぇように技を磨くんだな。入ったばかりの元駐屯兵にそこまでの活躍は期待してねぇ。せいぜい今てめぇができることに集中しろ」
サイはところどころリヴァイの発言に気になるところがあったものの、うなずいておいた。
なんだかんだと、あっという間に一週間が経った。
今日で調査兵団の体験は終了だ。
何だかんだと言って早かった。
結局8割がたは掃除、倉庫整理、書類運びなどの雑用、そんなところだった。
あとの2割はリヴァイ兵士長の話である。
彼は話し始めると、けっこう長い。
チラシにあったように、結局壁外調査へ行くこともなかった。
あれは結局、誇大広告だった。
あのチラシを作ったハンジ分隊長やモブリットさんに文句のひとつも言いたいところだけど。と思いつつ、朝食へ向かう。そういえば、二人の姿をこの一週間見ることはなかった。
定位置になったリヴァイの前に座る。
「おはようございます」
「ああ...」
今日も表情にあまり変化がない。
果たしてこの人は笑ったりして顔の筋肉を使うことはあるのだろうか。
「この一週間お世話になりました」
サイは頭をさげた。
「...は?」
何故かリヴァイに睨まれたが、サイはいちいち気にしないことにしていた。
「なんとなく、わかった気がします。掃除がいかに大切なのか。駐屯兵団とはなんか違うなって。結局巨人の姿を見ることはなかったですけど、ホコリと巨人と真剣に戦う調査兵団のことはしっかり駐屯兵のみんなに伝えますので...」
「...おいおい。おまえ、まるで今から駐屯兵団に戻るみたいな言い方だな」
リヴァイが言うので、サイはきょとん、とする。