第25章 お兄ちゃん MN編 ☆
「おーい!潤早くーっ!!」
俺には、双子の弟がいる。
双子って言っても二卵性で
顔も性格も全然違う。
「遅いよ」
「和が早いんだろ」
「潤が遅いの!早く行こ」
「…………」
顔も性格も全然違っても
試験の結果だけを見れば、
頭の造りは似ていたようで
割と名の知れた大学に揃って合格した。
和は器用で俺は不器用。
同じことをしているように見えても
努力の量は全く違った。
俺は真剣に勉強したのに
和はいつだって適当だった。
小学校から今の大学まで
毎朝肩を並べて登校してきた。
男兄弟にしては珍しいでしょ。
「ね。前、試験の範囲言ってた?」
「言ってた。また寝てたのかよ」
「教えてっ!!お願い!ね、潤!!」
「やだって言ったらどうすんの?」
「潤はそんなこと言わないもん。」
「お前なぁ…」
「俺が落第したらヤでしょ♪?」
「……………」
んふふ♪ってお気楽に笑う和。
性格違うくせに、専攻は全部一緒な
俺たちは大学でもずっと一緒にいる。
友達だって共通ばっかり。
分かりきった笑顔で言う和に
少しイラッとするけど
図星な俺を隠しきれずに黙ってしまう。
嫌に決まってる。
和が落第したら一緒にいられない。
…って…よく考えたら
そんなこと有り得ないんだけど。
「今日は起きてろよ。」
「うん。寝たら起こしてね?」
「…はいはい。」
「んふふ…」
なんだかんだ言って、俺は和に弱い。
「…暑いっ!」
「ほら!やっぱり潤が遅いからっ!!はぁ…はぁ…」
「あーごめんごめんっ!」
「こらっ!面倒臭そうに言うな!」
「ごめんなさいっ!!」
「もぅ…汗すごいんだから!」
「和、お茶」
「…この馬鹿やろうめ」
開講ギリギリ。
駅から走ってもう汗だく。
和は隣でギャーギャー言いながらも
俺の汗を拭いてくれたり、
カバンからお茶を出してくれたり。
っていうか、一緒に走ったのに
なんでこいつはこんなに涼しげなんだ。