第24章 お兄ちゃん AN編 ☆★
「おにぃちゃんまってよぉ…!」
うちの親は離婚した。
俺と弟の和がまだ小さい時。
ギリギリ俺が覚えてるくらいだ。
だから和はうっすらしか覚えては
いないんだろう。
俺がお父さんに連れられて
家を出るとき、和は、訳も分からず
「おにぃちゃんまってよぉ…」
って、そう言って泣いていた。
仲が良かった俺達兄弟は
親の勝手で引き離されたんだ…。
あれから15年。
俺は一人暮らしを始めていた。
高校最後の夏休み。
俺が、一番会いたかった人が
突然目の前に現れたんだ。
「…あの……」
少し出かけて帰って来たら
俺の部屋のドアの前には
一人の男の子が…。
別れてから一度も会わずに
お互い成長した姿で。
なのにやっぱり血は繋がっているんだ。
すぐに和だって、分かった。
「か、ず…?」
「っ!はぃっ…お兄、ちゃん…?」
「……なんで、ここ…」
「…お兄ちゃん、を…探して、…」
「俺を…?」
「お兄ちゃんにっ、会いたくて…俺っ…」
「和っ…!!」
「おにぃ、ちゃっ…っぅう」
和は俺が名前を呼ぶと
目にいっぱいの涙を溜めて
一生懸命喋ってた。
そんな和が愛おしくて
俺は和をぎゅっと抱きしめた ――――
っと、これが2週間前の話。
で、今はというと。
「ただいま~」
「お帰りっ!」
「はい、お土産♪」
「なに?あ、んふふ…からあげ」
「ここのがね、いっちばん旨いんだよ!!」
「そうなんだ、ありがと!兄ちゃん」
和は俺の部屋に引っ越してきた。
和と住んでいたお母さんにも、
ちゃんと会いに行って、2人で
暮らすこと、許してもらった。