第23章 お兄ちゃん SN編 ☆微★
「あっち…!あーもぅ……」
昨日から、両親が旅行に出かけた。
もう高校生の息子が2人もいるのに
未だラブラブという言葉が似合う。
弟の和也が中学に入った年から、
毎年、結婚記念日には2人で
どこかしら旅行に出掛けていくんだ。
ってことで、今、家には俺と和也だけ。
さっきから、不器用の代名詞のような
この俺が夕ご飯を作っているのは
そういうことだ。
「…しょーちゃぁん…?」
「かず!お前手伝えよっ!!」
「…なにやってんの?……うわっなにこれ、炭…?」
「バカっ!!ハンバーグだろ!どうみても」
「いや、これはどう見ても炭だよ」
「じゃぁお前やれよ!お前料理出来んだろおがよ!!」
「なんだよっ!自分が失敗したからって俺に八つ当たりしてんじゃねぇよ!!バカ兄貴っ!!!」
「ぁあ分かったよっ!もうやんねぇよ!!」
二階から、寝てたのだろう和が
まだ眠そうにしながらおりてきた。
真っ黒に焦げたハンバーグを見て
和は炭だと言った。そりゃ、俺だって
そう思ったよ。でもはっきり言うかよ!?
高校生の男2人兄弟。
俺らも普段は他と変わらない兄弟で
少しのことで喧嘩勃発。
いつものことだ。
先にキレるのは大体俺。
和は弟のくせになにかと大人で。
俺がいつも先に怒鳴って先に逃げて。
でも先に話しかけてくるのは和。
謝らなくても元通りになるのは
兄弟だから。
自分の部屋に入って、イライラしながら
宿題に手をつけていたら、なんか
いい匂いがしてきた。和だ。
あいつはなんだかんだ言いながら
ちゃんとやることはやる奴で。
「兄ちゃーん!冷めても知らないよ」
下から聞こえる和の声は
相変わらず、まだ不機嫌そうで。