第19章 執事 ON編 ☆★
「さとしー!!早くっ!!」
「ちょっと待ってって…」
「さーとーしーー!!!」
「待って下さいってば!!」
「普通さ、俺が起きる時間に合わせて準備するもんでしょ?」
「だって今日寝過ごしちゃったんだもん」
「今日、じゃなくていつもでしょ?」
「………申し訳ございませーん!」
「…絶対反省してない」
「……はい!出来たっ!!どうぞ、」
「…器用は器用なんだけどなぁ……」
二宮家長男、和也の部屋は
大抵いつも朝から騒がしい。
和也に仕える執事は大野。
だが彼は…執事、っぽくは…ない。
今日も朝から大野は和也に
急かされながら大慌てで
朝ご飯の準備。
和也の希望で、大野の部屋は
和也の部屋の中の一室である。
だから家では常に大野は
和也の傍にいるのだ。
「早く着替えてきなよ、誰か来たらどーすんの」
「あ、そうだった…。んじゃちょっと失礼しまーす!」
「……のん気な奴…」
和也と大野は密かに愛し合っていた。
堅苦しいのが嫌いな和也は
執事が常に敬語で話すのが
嫌いであった。
しかし、どの執事も和也に
タメ口では話してくれない。
和也はそんな執事達を
次々とクビにしてきた。
そして2年前、また一人クビを切り
次に来たのが大野であった。
彼は他の執事とは違った。
いつものように、初日、
自分と2人の時はタメ口で喋れ、
と言うと、大野は、いいの!?、と
嬉しそうに言ったのだ。
堅苦しいの嫌いなんだよね、と
ニカッと笑った大野に
和也は笑って抱きついた。
そして1年後、2人は身体を重ねた。
お互いに一目惚れだった。
それから2人は和也の両親に隠れて
付き合っているのだ。
「着替えたっ!!」
「うん、カッコ良くなった」
「へへっ」
「ごちそうさま」
「あ、はーい。えっと、今日は…スーツ!!」
「うん。いいよ、自分でやる。智は早く片付けて」
「はいっ!!ありがとう助かる」
「ん、急いで。時間ないよ」