第18章 執事 AN編 ☆
「ただいまぁー。ニノー?ニノー!?」
「あっ…お帰りなさいませ、雅紀様。すみません、きちんとお迎えさせて頂けませんで…申し訳ありませんでしたっ…」
「そんな謝んなくていいよ。今来たし、ニノいたじゃん。」
「はい…申し訳ありません…」
「謝らない!…何してたの?」
「あ…はい、アルバムの棚を掃除させて頂いていました…」
「ん、お疲れ様。写真見てたんでしょ?どれ見てたの?俺にも見せて」
「…はい、」
二宮が棚から持って来たのは
まだ赤ちゃんの頃の雅紀と二宮が
写っている写真だった。
本当に昔から一緒にいるのだ。
「わー…懐かしいね…!ニノ可愛いー…」
「……雅紀様のほうが可愛いですよ、」
「………ニノ、いつもそんな風に笑ってたらいいのに」
「へ…?」
「今、ふわって。あれ、へにゃっ?ふにゃ?」
「…っんふふ…」
「ひゃひゃっ!!ニノは笑ってたほうが可愛いよ!」
「…ありがとうございます、」
二宮が雅紀の前で柔らかい自然な
笑顔を見せたのは久しぶりだった。
「あとは敬語じゃなくなったらもーっと可愛いんだけどー」
「……夕食の準備がありますので失礼致します。」
「…へいへい。あ、今日なにー?」
「今日は確か…唐揚げかと。」
「お!ご馳走ご馳走!!早くね!お腹空いたー!!」
「かしこまりました。」
唐揚げは雅紀の大好物である。
それを知っている二宮は
いつも、他のおかずより明らかに
大盛の唐揚げを運んでくるのだ。
「ニノー、おいしー!唐揚げは無敵ー♪」
「たくさん召し上がって下さいね。」
「うん!!あ、ニノも食べな。ほら!あーん」
「いえ、私は後で頂きます。雅紀様がお召し上がり下さい」
「…ダメ、食べなさい。」
「しかし…」
「早く!口開けて!!俺がニノと一緒に食べたいの!ほら早くっ!!俺の言うこと聞けないの?」
「……すみません、頂きます…」
「うん。…おいしーね?」
「…はい、とても。」
「ひゃひゃ♪」
二宮がやっと口を開いてくれて
雅紀は自分が食べているときより
嬉しそうに笑った。