第18章 執事 AN編 ☆
「雅紀さま!!雅紀お坊ちゃま!!早く起きて下さい!!!遅れますよ!!」
「んうー…もうちょっとー…」
相葉財閥の長男、雅紀の部屋。
雅紀は寝起きが悪く、
雅紀に仕える執事、二宮が
起こしにかかってから
もう20分は経つ。
「……早く起きろって…言ってんだよっ!!!!!」
「っわぁあ!!ごめんなさいごめんなさい!!!」
「…おはようございます、雅紀様。朝食はとっっっくにご用意出来ております。」
「……はぁい…」
二宮は雅紀が幼い頃から一緒にいる
幼なじみと言うやつである。
両親を事故で亡くした二宮を
雅紀の父親は自ら引き取ってくれた。
ただ、住まわせてもらうのは
申し訳ないと子供ながらに
思っていた二宮は、留学を経て、
優秀な執事として、数年前、
相葉家に戻って来た。
執事として、雅紀に対する言葉は
当たり前だが全て敬語である。
まぁ、雅紀はそれを嫌がるのだが。
言葉は敬語でも、幼なじみと言う
関係からか、二宮は言いたいことは
お坊ちゃま相手でもズバズバと言う。
「雅紀様が遅れられたら私の責任ですので1回で起きて頂きたいものですね。」
「最初っから、早く起きろー!!って言ってくれたら起きるのに~」
「…出来ません。それは最終手段ですから。」
「俺と2人の時はタメ口で良いって言ってんのにさぁー。ん、ごちそうさま」
「……お皿お下げ致します。お洋服は既にベッドの上に置いてございますので急いでお着替え下さい。」
「…はいはぁい」
数年間、雅紀は二宮に毎日、
タメ口で喋れと1日1回は
口癖のように言っている。
その口癖からか、今朝のように、
たまに二宮は素の顔を
見せるようになった。
「行ってらっしゃいませ、雅紀様」
「行ってきます、ニノ」