第14章 学生カップル AN編 ☆
「にのちゃん、今度の土曜日、暇?」
「土曜日…多分、暇、ですけど。」
「ほんと!!?あのね、土曜日試合なの!!見に来てくれる!!?」
「…なんで、」
「え?」
「なんで、僕なんですか…?」
「……だって、」
なんで、って聞いたら
相葉先輩にしては珍しい表情をした。
キョトンとして、一瞬俯いてから
いつもと違ってふわって笑った。
「にのちゃんが来てくれたら、俺、いつもの倍頑張るよ!!」
「……………」
ニコッと笑って言った先輩に
俺は不覚にもドキッとしたんだ…。
「……俺がいなくてもいつも頑張って下さい」
「だーかーら!!いつも頑張ってるやつの倍だってばぁ!!!」
「………気が、向いたら…行きます」
「ほんと!!?やったぁー!!!ありがとう神様仏様ーっ!!!!」
「………………」
気が向いたら、って言うのは
きっと先輩の頭の中で削除された。
それでも喜んでる先輩を見て
こっちまで嬉しくなってたのは
俺の、…気持ちの変化…ですか?
土曜日、俺は試合は見なかった。
いや…見れなかった。
ほんとに、行こうと思ってたんだよ。
それなりに、楽しみにしてた。
でも、起きたらもう試合は
始まってだいぶ経った時間で。
申し訳なくて、急いで体育館に
向かったけど、やっぱり試合は
終わってた。
そのまま帰ろうとして
校門に向かったいたら、
いつもの大声が聞こえた。
いつもうるさいと思うその声は
今日の俺には嬉しい声で。