第21章 温泉に行こう【団長ハンジさん・R18】
無言は肯定の証だろう。
普段は鬱陶しいと感じられるくらい饒舌なハンジが何も発することなく、ただなまえの些細な動きを静かに眺めている。
そっと眼帯を外し、浴槽の縁に置くと生々しい傷跡が姿を現した。
傷を負ってから何年か経つにも関わらず未だ痛々しく感じられるその傷は癒えることのない心の傷さえも表しているようだった。
「痛くないですか?」
「今は、ね。大丈夫。」
鈍く揺れる右の瞳とは裏腹に光を写すことのない白く濁った左眼がなまえを捉えることはない。
ハンジさんの何もかもを醜いなんて思ったことはない。
この傷も含め、全てが。
なまえはありったけの慈しみを込めて左眼の縁に唇を落とした。
静寂の中にリップ音がやけに大きく響く。
ハンジは微笑むとなまえの髪を撫でた。
「ありがとう。」
いつの間にか頬を伝っていた涙を指の腹で拭われた。
「私の代わりに君が泣いてくれる。」
いつだって、自分の傍で泣いていいのに。そんな台詞はいつの間にか飲み込まれ、体勢を変えたハンジにいつの間にか浴槽の縁に押し倒されてしまった。
温かい湯ですっかり温まった身体に冷たい床の感触が心地いい。
いつの間にか深くなった口づけに湯船の揺れる音とは違う水音が鼓膜を刺激した。
「ふ、んん」
そのまま胸の頂へ降りてくる指先に身体がピクリと跳ねた。
「焦らされてもう限界。」
「あっ」
耳元で声がしたかと思うとそのままハンジの舌先が首筋から鎖骨を下り、頂点を口内に含んだ。
何度も抱き合ってきた身体は快感を求め撓む。
押し付けられるようになった胸が舌と指先で休むことなく刺激されると、自然と媚声が漏れた。
伏せられた右眼と揺れる前髪から覗く普段は見えることない瞳に背筋がゾクリと震えた。
視線に気づいたハンジの瞳がこちらに向けられると、不意に弄っていた指先でくっと摘ままれる。
「あぁっ!」
びくびくと揺れるなまえの身体をハンジは面白そうに見つめた。
「よそ見禁止。」
軽く達し、すっかり力の抜けてしまい横たわる身体に指を這わせると下腹部に触れる。
茂みの奥は十分すぎるほど濡れていた。
温かいお湯と火照った身体に冷たい夜風が丁度いい。