第21章 温泉に行こう【団長ハンジさん・R18】
「そんなに酷い?」
ハンジは苦笑すると眉間をぐるぐるとマッサージし始めた。
「このままだと深く刻まれちゃうかも」
「それは嫌だなぁ」
先程までの憂鬱はどこへやら、二人で他愛のない会話をしていると自ずと笑いが込み上げてくる。
「ほぐしてあげましょうか?」
「ん」
悪戯っぽく笑って少し背伸びをすると額に軽く口づけた。
こんな風に、お互いしか見えてないような甘い行為をしたのはいつぶりだろう。
ハンジは少し驚いているようで、でも少し嬉しそうに目を細めるとなまえを抱き寄せた。
そのまま膝の上に乗せられ向かい合う体勢になる。
「キヨミさんの策略にハマってるみたいで癪だけど」
「でもこんないいお部屋に泊まれることなんてめったにないですよ。」
「確かにそうだね。」
軽口を言い合いながらもハンジは眼鏡を外すと、なまえの身体を撫でたり、唇で輪郭や鎖骨をなぞった。
くすぐったい感覚に身体を捩ると目の前の存在は満足そうに笑った。
「ハンジさん、まって」
「ん?」
このままだと肝心な物に辿り着けないまま一夜を過ごしてしまいそうだ。そう思ったなまえはハンジを宥めると、本人は怪訝そうな顔をしている。
「その気にさせたのはそっちなのに」と言わんばかりだ。
「お風呂、入りません?」
そう、この部屋最大のメインはお風呂だ。
まだまだ薪でお湯を沸かしているパラディ島にとって大の大人が入れるくらいゆったりとしたお湯が張られた浴槽にゆっくり浸かれるなんて夢のような話だ。
今ここで体験しておかなければ、この先いつお目にかかれるかわからない。
ぜひそこで日々積もった身体の疲れも癒したいものだ。
ハンジはその言葉に一瞬呆けていたが直ぐに口角を吊り上げた。
その表情になまえは一瞬嫌な予感がしたが、その予想はすぐに的中することになる。
「今日は随分大胆なんだね。」
「え、いや、あのっちょっと、」
ハンジは手早く眼鏡を掛けなおすと、なまえのことも立たせ、腰を引きながら得意げな表情で部屋の奥にある浴室へ向かった。
「一緒にお風呂なんてちょっとおじさんっぽいけど、大丈夫。嫌いじゃないよ」
「別に背中は流しませんよ!?」
「え、そうなの?」