第18章 ベーシストの憂鬱【No Nameハンジさん・R15】
「私が落ち着きたいのはこの匂いだけだよ」
なまえの髪に鼻先を埋めると深くその匂いを肺の中へ吸い込んだ。
煙草の匂いが少し混ざった甘いなまえの香り。
そのまま軽く首筋にキスを落とすと、煙草の火を消してくるりとこちらを向いてきた。
「じゃあ私の匂いも覚えてもらわなくちゃ」
無邪気に笑うと私の胸元へぴったり密着するように抱き着いてきた。
・・・これはなかなか。
「落ち着く?」
「落ち着くというか…逆効果というか……」
なまえの腕が背中に回り、
薄い寝間着越しに密着した身体は色んな意味で心臓に悪い。
微かだが目の前の彼女の匂いは確かにするのに、部屋中に充満しているのはミケの臭いで。
何というか・・・
「変な顔してる」
「変な顔にもなるよ。なまえが困ることばっかりするから」
「ふふ、悪い子でごめんなさーい」
他の男の臭いを纏ってそのまま軽く触れるだけのキスをしてくるものだから。
確信犯なのか、その姿は私の加虐心を酷く煽る。
「悪い子を野放しにしておくわけにはいかないね」
「あっ、」
鎖骨へと少しきつめに噛みつき、歯で肌を挟めばなまえの口からは自然と声が漏れた。
このまま噛みついて、私のものだと跡を残してやりたい衝動に駆られたが見えるところは流石に憚られ彼女のTシャツを捲し上げると腹部に舌を這わせた。
「ちょっ、ハンジ、待って。まだ朝・・っい“!」
頭を掴んで静止を求めてくる姿をよそに、そのままくびれへと噛みついた。
痛いだろうけど、痛いくらいで丁度いいだろう。
「痛った…っ!ねえ、待って!痛いから!!」
一刻も早く引き離そうと、肩を掴みそこに爪を食い込ませてくることもお構いなしに、
時間をかけてギチギチとくっきり歯型が残るくらい強く噛み締めた。
最初は声を上げて抵抗していたなまえも離れる頃には息も乱れ、瞳には涙が滲んでいた。
腹部には血こそ出ていないがくっきりと歯形が残り、周辺の肌は朱く充血している。
「はぁ・・・最低」
「なまえが悪いことするからでしょ?
大丈夫、毎日舐めて消毒してあげるよ」
「変態」
なまえの言葉に思わず噴き出すと、すらりとした腕が後頭部を掴みなまえの顔が近づいてきた。