第17章 キスから先の進め方【分隊長ハンジさん・R18】
なけなしの理性を振り絞ると、唇を離した。
案の定なまえは困惑しているようで肩で息を整えながら瞳には薄っすらと涙を浮かべている。
「・・・嫌だった?」
申し訳なさそうに顔を覗き込む。我ながら狡い聞き方だ。
こんな聞き方でこの子が本気で拒否するはずがないのに。
それが分かっていて聞くのだから。
「・・嫌じゃ、ないですけど」
「けど?」
「何か変・・・」
今にも消え入りそうな声で呟くとなまえはあたふたと弁明し始めた。
「へん、というか・・・ふわふわ、とにかく不快ではなくて・・・・えっと」
「ははっ、大丈夫分かるよ。」
思わず噴き出すと可笑しなことを言ったかと不安がるなまえの頭をそっと撫でて安心させてやる。
「こういうことは初めて?」
「ハンジさんが初めてです。」
「そっか、嬉しいよ。」
ちょっとした優越感が心を満たすと、何も焦ることなどなかったんだと昼間の自分を叱る。
今腕の中で自分に身を任せてくれているこの姿がそれを証明している。
もう一度、今度は彼女がするように頬に軽く唇を落とす。
「みんなにこれ、してるからちょっとだけ嫉妬しちゃった。
強引にごめんね。」
突然の告白に事態が把握できないなまえは何度か瞬きをすると首を傾げた。
そのままベッドに寝かすと覆い被さった。
「本当は二人きりの時に他の男の話なんて聞きたくないし、君の唇がどれだけ柔らかいかとか、お風呂上りにはこんなに甘い香りがするとか、そんなことは他の誰にも知られたくないんだ。」
首筋に顔を埋めるとなまえの香りを肺いっぱいに吸い込む。
くすぐったいとなまえは笑った。
「君のことになると醜い欲の塊になってしまうみたいで。
なまえ、君を私だけのものにしたい。」
重たいと、拒否することもできるだろうに。
「私は調査兵団のみんな好きですけど、ハンジさんはもっと好きです。
こうして口にキスしたいのもさっきのキスも、ハンジさんだから嬉しくて」
こうも容易く私が欲しかった言葉のさらに上を行くんだから、ますます君に溺れてしまう。
感謝と愛の言葉を囁くと、またなまえが嬉しそうに笑うからつい口走ってしまった。
「なまえからして欲しい。」