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短編集 【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】

第17章 キスから先の進め方【分隊長ハンジさん・R18】





ハンジの大きな溜息が部屋いっぱいに響き渡ると、それを破るようにリヴァイが呆れたように舌打ちをした。


「その程度で崩れる想いなら大した事なかったということだ」

「うっ・・・・薄情者」

「第一、俺は頬以外にあいつが口づけているのを見たことがねぇ。
まさか、お前となまえは唇を合わせるキスはしたことありません、なんて言うんじゃないだろうな。」

「さすがにそれはあるけど・・・」


リヴァイの言葉に瞳を丸く見開きキョトンとしているハンジにリヴァイが続ける。


「じゃあそれが答えだ。
誰にでもペースってものがある。ったく、子供みたいなことでクソみたいに悩みやがって。
・・・本当に好きなら待ってやれ」


ハンジは零れ落ちそうなほどこれでもかと瞳を見開くと、すぐにその瞳を輝かせ感動するかと思いきやすぐ可笑しそうに笑った。


「リヴァイって意外と純情な感情も持ち合わせてたんだね・・・・ッ痛ってぇ!」


その言葉とリヴァイの拳がハンジの頭に落ちるのはほぼ同時だった。




かくしてリヴァイのお陰で平穏を取り戻した執務室では紅茶を啜る音だけが聞こえる。



「リヴァイ、助かったよ」

「どうってことない。
あんなことで思いつめるとは餓鬼と変わらねぇ」

「しかし、好きなら待ってやれか。いい言葉だ。
君もそんな恋愛を?」

「あ?」


相変わらず口が悪い。
思わず噴き出すと今度は拳の代わりに鋭い視線が突き刺さった。
ハンジのように殴られるのはごめんだ。


素直に口を紡ぐと目の前の書類に専念することにした。
窓の外に目をやると高く昇っていた太陽がもう沈みかけていた。



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