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短編集 【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】

第14章 ちっちゃくなっちゃった!?【分隊長ハンジさん】





「ひゃに?」

「はんじ、にこにこ!」


にこにことは笑顔のことだろう。
まさか、こんな子供に気を使われるなんて。


呆気に取られていると目の前でなまえが無邪気に笑っている。


やっぱりこんなに小さくてもなまえなんだな、なんて。
なまえを床に下ろすと頭を撫でた。


「なまえお腹空いてない?
ご飯とってこようか」

「たべる!」

「よーし、いい子にして待ってるんだよ」

「はあい」


ちょこんとソファーによじ登るなまえの頭をもう一度撫でると食堂からとってきた昼食を一緒に食べた。


終始楽しそうに喋ったり遊んだりしていたなまえだが
お腹が膨れて満足したのか気づけばソファーで穏やかな寝息を立てていた。


無邪気なその姿に思わず笑みが零れる。
上着を毛布代わりにかけてやると自然と頭を撫でていた。
いい夢でも見ているのか気持ちよさそうにしている。


そのまま屈んでその顔を眺めた。


昨日まで兵士だったとは思えないくらい深い眠り。
この子にとってはこのままの方が幸せなのかもしれない。


このままなら、またあの血生臭い場所に戻らなくていい。
ずっとこのままただ私の帰りだけを待っていてくれれば。



「君を失うことはないのかなあ」


静かな執務室に自分のか細い声だけが響く。

もしかしたら、成長する過程で兵士じゃない男と出会って、
結婚して戦いとは無縁の場所で平和に暮らすとかそんな幸せがあるかもしれない。


嫌だけど、
このなまえがそれを選ぶなら受け入れなくちゃいけないのかもしれない。


「はは」


傍に置いておきたい自分とそうではない自分が混在していることに笑いが零れる。




「なんて。
弱気になっちゃだめか・・・
なまえ、早く帰ってきてね。」 


今度こそ額にキスを落とすと
食べ終わった食器をまとめ食堂に向かった。
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