第14章 ちっちゃくなっちゃった!?【分隊長ハンジさん】
そんなことを考えていると勢いよくなまえの顔が突っ込んできた。
そのまま豪快に唇を奪われる。
「うっ」
「はんじ、あいしてゆ!」
先ほど覚えた言葉を得意げに発すると
またしっかりと抱きついてきた。
こんな状況じゃなければ心の底から嬉しい。
「ずいぶん積極的だな」
「よほどハンジのことが好きらしい」
「なまえのこんな姿はなかなか見られないね」
外野は心底楽しそうだ。
「とにかく、暫くは様子を見ていたらどうだ。
なまえはハンジがお気に入りらしいしな。」
いいな、なまえ?とエルヴィンに声を掛けられると、
あまり意味は分かっていないだろうがなまえは元気よく返事をした。
――――――――――――――――――――――――――
今、
私の膝の上ではなまえが楽しそうにはしゃいでいる。
「なまえー?ちょっと大人しくしてくれないかな」
「やっ」
私の願いはどうやら聞き入れられないらしい。
なまえが突然抱き着いたり頬を突いたり、
好きさえあればちゅーしようとしてくるため中々仕事が進まない。
1時間ほどこの子と接してみて気づいたが
なまえには自分が調査兵団の兵士であるという記憶はないらしい。
覚えているのは私やモブリット、エルヴィン、リヴァイ、ミケ、ナナバといった人物の名前のみ。
エルヴィンやリヴァイの名前ならわかるが私やモブリットの名前を知っているとなると近所から迷い込んだ子供説は否定される。
「やっぱり君はなまえなんだね・・・」
「はあいっ」
「なまえ」
元気よく返事をするなまえを机の上に乗せ向かい合うと頬に触れた。
いつもより柔らかい頬の感触を確かめるように。
思わず漏れそうになる溜息を飲み込んだ。
このままなまえが子供のままだったら。
調査兵団にずっと置いてはおけない。
私の部屋に置いておくか、彼女の為に近くに家を借りるか、
しかし、私だっていつ何が起こるかわからない。
最悪、施設に・・・
「はんじ?」
不安を感じ取ったのかなまえの小さな両手が頬に触れた。
そのまま強引に頬を持ち上げられる。