第14章 ちっちゃくなっちゃった!?【分隊長ハンジさん】
「モブリット!!」
とにかく一番に報告しようと気づけば副官の部屋の前で扉を力いっぱい叩いていた。
「な、朝早くからなんですか!」
「なまえが小さくなったんだ!」
「は?」
部屋から出てくるのは何を言っているんだと言わんばかりに顔をしかめたモブリット。
起きたばかりだったのだろう、何とかシャツに着替えているが下は寝間着で無精髭は生えたままだ。
抱きかかえている子供には目もくれず、
いや、気づいていないのだろう。
ジロりとこちらを睨みつけてくる。
「ハンジさん・・・あんたまた変な薬を」
「違うよ!朝起きたらなまえがなぜか子供になってたんだよ!!」
ほら!とまだうとうとしている子供・・・
なまえをモブリットの目の前に差し出す。
「この子供がなまえ・・・?」
まだ頭が覚めきっていないのかゆっくりと子供の顔を覗き込むモブリット。
視線が子供と同じ高さになると、
小さな手が彼の頬にぺちっとあてられた。
「おひげ!!」
いつの間にか覚醒した彼女の瞳はきらきらと輝いている。
「もぶいっと、じょりじょり~」
きゃっきゃと楽しそうに頬を撫でまわしている。
モブリットは呆気にとられたように瞳を見開いて固まっている。
「本当になまえなのか・・・?」
「はーい!」
名前に反応したのか元気よく手を挙げる子供。
本当になまえらしい。
いったいこれはどういう仕組みなのか。
実験したい、何とか解明したい。
「・・・君はやっぱりなまえなの?」
「そうだよ!」
にこにこと無邪気に笑いかけてくる子供のなまえ。
「ねえ、モブリット」
「なんですか」
「実験しちゃだめか」
「だめでしょう!」
「あっ」
「実験」の言葉を聞くとモブリットは急いで
腕の中からなまえを取り上げた。
「何するんだモブリット!
これは大発見かもしれないんだぞ。人間が若返るなんて・・・」
「相手は子どもですよ!
そもそも、なまえという名前の迷子かもしれないし、許可できません。」
モブリットはなまえはもう渡せないと言わんばかりに
子供をしっかりと抱きかかえている。
なまえも見つからないしとにかくエルヴィンに報告することになった。