第14章 ちっちゃくなっちゃった!?【分隊長ハンジさん】
「なまえ・・・?」
寝起きでうとうとと微睡む暇もなく。
腕の中に納まっているはずの愛しいなまえ・・・
がいない。
代わりに納まるのはすやすやと穏やかな寝息をたてる子供。
「まさか、隠し子・・・」
エルヴィンかリヴァイか。
しかし、兵舎に連れてくるとは無用心すぎるし、現実的に考えて彼らがそんなことをするとは思えない。
とりあえず、ここにいるはずのなまえがいない。
シャワーでも浴びているのだろうか。
とにかく彼女にこの状況を説明しよう。
ベッドサイドにあった眼鏡をかけ起き上がろうとしたが、
小さな力に引っ張られた。
目の前の子供が服をしっかりと掴んでいる。
まるで寝ぼけたなまえのように。
「なまえ・・・?」
無意識に彼女の名前を口にしていた。
眼鏡をかけたお陰で子供の姿がよく見える。
目の前の子どもはまるでなまえの幼い頃はこんな感じだったんだろうなと思えるくらい特徴が彼女に似ている。
髪色も全くと言っていいほど同じ。
髪の長さも同じくらいだし顔の雰囲気もどことなく似ている。
何より、ぶかぶかだがこの子が着ている寝間着は間違いなくなまえがいつも着ているものだ。
「まさか・・・」
覚醒した頭で導き出した答えを確かめるように
子供特有のふっくらとした頬を突いた。
「おーい、なまえさん・・・?」
「んん・・・」
聞きなれた声よりも気持ち高めの子供の声が耳に入ってくる。
薄っすらと開かれた瞳の色もなまえと同じだった。
間違いない。
この子はなまえである可能性がある。
そう思った時には上着と子供を抱きかかえ部屋を飛び出していた。