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短編集 【進撃の巨人/ハンジ・ゾエ】

第11章 令子様リクエスト☆*。【分隊長ハンジさん・R18】






「なんでニヤニヤしてるんですか」


なまえの声でハッと我に返る。
いつの間にか口角が上がっていたらしい。


「幸せだなぁと思って」


私の言葉になまえはきょとんとする。



「なまえみたいに優秀な部下がいてくれて私は嬉しいよ。」


「“ 掃除をしてくれる部下 ”の間違いじゃないですか?」


なまえは吹き出すと
一層散らかっている一角に手をかけた。



本当に幸せなのにな。
ハンジは心の中で呟くと買ってきた本を手に取り、膝の上で開いた。


文字に目を通していると、
遠くからなまえの咳き込む音が聞こえる。



「っ、ここ、きたな・・・・・・!」


バサバサと山積みになった本が散らばる。
そこからは積もった埃が舞っている。



なまえは口を抑えながら
ハンジが座っているベッドまで後ずさった。




「もう!
ハンジさん、なんでこんなに汚い・・・・・・きゃっ」


「えっ」


なまえがハンジに文句を言おうと振り向いた時、
何かに躓いた。



バサバサと山が崩れる音がする。



気づいた時にはなまえがハンジを押し倒すように
ベッドに倒れていた。



目の前にはハンジの顔。
唇は触れてしまいそうに近い。



バクバクと心臓が加速している。



今すぐ離れなければ。



そう思う心とは裏腹に、
もう少しだけこのまま、
ハンジの顔を見つめていたいと思う自分もいた。




なまえもハンジのことが好きだった。



ハンジ班に配属され、
この人の熱い想いに触れた時からずっと。



だが、誰にでも優しく気さくなハンジが
自分にだけ特別な想いを持ってくれている、持ってくれるようになるなんて、そんな厚かましいことは微塵も考えられなかった。



私はこの人のそばで
ただ力になれればそれでいい。



この気持ちは一生伝えることはない。
そう決めていた。



しばらくの間沈黙が流れた。



「あの、ハンジさん」



いい加減離れようとした時、
ハンジの唇がなまえの唇に触れた。



カチャリと眼鏡の金具がなまえの肌に触れる。



なまえは瞳を見開いた。




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