第11章 令子様リクエスト☆*。【分隊長ハンジさん・R18】
「なんですかこの部屋は」
私の部屋に足を踏み入れてすぐ、
なまえはこう呟いた。
今日は休日だったが、必要な書物を買うため
なまえに荷物持ちをお願いしていたのだ。
「いやぁー、ごめんね。
研究に熱が入っちゃって」
「この間掃除しましたよね?」
なまえの瞳が私を睨みつけた。
確かにこの間、
班員たち総出で私の部屋の中に入ってきていた気がする。
記憶にないということは私はやっぱり研究に夢中になっていたんだろう。
きょとんとするハンジに溜息を吐くと
なまえは持っていた紙袋をハンジに手渡した。
「掃除します。
ハンジさんは読書でもして待っててください。」
手伝うよ、というハンジの言葉を遮ると
辛うじて綺麗なベッドにハンジを座らせた。
「本当に手伝わなくてもいいの?」
「ハンジさんがやるともっと散らかるので」
なまえは床に散らばった本を
手にとっては素早く本棚に閉まっていく。
モブリットによって分野別に分けられた棚を
なまえもすっかり覚えてしまった。
「私だって掃除くらいできるよー」
ハンジが苦笑すると
なまえはまたハンジを睨みつける。
「ハンジさんは片付ける前に中身を読むでしょう。
だから全然進まないんですよ・・・・・・
この間だって・・・・・・」
ブツブツと愚痴るなまえを
ハンジはベッドの上で胡座をかき、
頬杖をつきながら眺める。
新兵だったなまえも今や立派な兵士だ。
私との距離も縮まって、まるで第二のモブリットのようになってしまったなまえの説教も嫌いではない。
いつの間にか、
この関係を心地良いと思うようになった。
この時間がずっと続けばいい。
できることなら戦場になんて行かせたくない。
なまえを失いたくないんだと気づいた時、
私は彼女が好きなんだと気づいた。
でも、この想いは伝えることはないだろう。
私の一方的な想いだ。
この一方的な想いでいつも死地に赴く彼女の負担にはなりたくない。
だからささやかでもこの穏やかな時間を
めいっぱい楽しもうと決めたんだ。